2度目の大賞受賞祝宴への追憶
〜ESCRS学術映像審査会特別部門最優秀受賞祝賀会・ご挨拶より〜
奇しくも10年前、妻と7歳になったばかりの息子を引き連れ、右も左も分からぬオランダの地を訪れ、やっと探し当てたESCRS学術映像審査会場の片隅に席を取り、「初めての作品参加でもあり受賞するなど以ての外、評価されるだけでも有難いのだから…」と自分を宥めつつ、妻と息子の手を握り締め「発表が終わったらオランダで一番おいしい料理を食べに行こうね」と気遣いつつ、各部門(全5部門)の3位賞、2位賞、最優秀賞が次々と読み上げられていく。私の作品は眼科専門領域のジャンルを越えた、いわゆる特別部門に出品してあるためその結果発表は一番最後になっていた。やがてこの部門も3位、2位賞と発表が終わり、残るは最優秀賞のみとなった。息が詰まる思いと、早速その場を逃げ出したい気持ちとが私の中で爆発しそうになったその瞬間、確かに私の名前が読み始められているのに私ではなく、私の側にいた妻がいち早くそれに気付いた。
「パパよ、やった!パパが呼ばれてる!」一瞬信じられぬ思いと感激とが狂演し、ほとばしる涙が見合わせる3人の泣き顔から溢れて止まらない…
あれから10年、また僕の中で奇跡が起こった。「いや、今度は奇跡ではない。間違いなく、僕が認められたんだ!」振り向くと、妻も自信と誇りの笑みを満面に称えて、今度は涙は見せない。迷いはない。「世界一のパパ!」そう言っているのだ…
思えば、10数年前、妻と3歳の息子3人で人吉に移住し、みなみ眼科を開院し眼科医として医療活動をさせて頂く中で、この様な身に余る機会を与えて頂けるとは夢にも思っておりませんでした。今回皆様にお集まり頂けたことを心から感謝し御礼を申し上げたいと存じます。
また、これからも皆様方に「よく頑張ってるね」と褒めて頂けるよう、更に精進して参りたいと存じます。
本日は、誠に有り難うございました。
(2009年9月)